ホクレア、日本へ

はじまりの島サタワル、そして日本へ

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サタワル島での時間は、すべての物語のはじまりのはじまりの中で過ごす時間でした。

島の航海術師たちから星の歌を聞き、島の人々と笑い、子供たちと駆け回り、夕焼け空に心奪われ、降るような星空を見上げ、静かに明るくなる朝の空に水平線の向こうの島を思いました。

そこには自然とひとつになって生きる人々の姿があり、途切れることなく続いてきたいのちのつながりがありました。ハワイの歴史を変えた壮大な物語の、はじまりのはじまりが、このミクロネシアの小さな小さな島にありました。

太平洋中の島々に大きな力を与え続けてきた航海術の叡智は、この空の下、この海で、この自然の中で、いく世代もの時間をかけて育まれてきました。ここは海とひとつになった人々が生きる場所。島にいる間中、神話の中に舞い込んだような不思議な感覚が、わたしを包んでいました。

サタワルとの別れの日。島の子供たちは、カヌーハウスから小さなアウトリガーカヌーを引っ張りだして、リーフの向こうに錨を下ろすホクレアとマイスへと漕ぎだしていきます。3人乗ればいっぱいの小さなカヌーに、沈みそうになるほどに乗り込んで、棒のように細いパドルでせっせと漕ぎながら、次から次へと沖へと向かっていく子供たち。ホクレアとマイスはあっという間に子供たちでいっぱいになりいました。遠く水平線の向こうから海を渡ってきたカヌーの上で、嬉々とはしゃぎ回る子供たちの、はちきれそうな笑顔。

ホクレアという小さな一隻のカヌー。数限りない人々の思いに支えられながら、30数年の航海を続けてきたこのカヌーの旅路は、サタワル島でひとつの大きな区切りを迎えました。

偉大な航海術師とPWOの儀式。いのちのつながりの中に繰り広げられる島の生活。すべてのはじまりには、決して揺るがない芯がありました。この島で、大きなひとつの輪がつながりました。そして今、このカヌーは日本に向けて、新たな海と島々に向けて、帆を開きます。

ホクレアの旅路の中で生まれてきた物語は、日本でホクレアを待つ人々の、深い深いところにきっと届くはずです。そして日本でも、きっと数えきれない新たな物語が生まれていくでしょう。
どんな物語が生まれていくんだろう。
どんな風に響いていくだろう。

大海原を、見えない島に向かって進み続けるホクレアは、今を生きるわたしたちに、たくさんのことを教えてくれます。

ホクレアは、答えを示してはくれません。
かわりに、答えよりも大切なものがあることを教えてくれます。
星を知ること、海を知ること、自然を知ることを超えて、
自分自身を知ることを教えてくれます。
自然とひとつになって生きる道を教えてくれます。

自分の心に羅針盤を持つこと。
それは誰の心にも、もうちゃんとあります。
そこに目を向けて旅に出るのは、わたしたち、ひとりひとり。

ホクレアの航海を通じて、
ひとりひとりの命が輝いていくように。
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by kanako_uchino | 2007-03-27 10:51
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