ホクレア、日本へ

宇和島へ

瀬戸内の海を抜け、愛媛、宇和島を目指して進む。しばらく行くと、細く突き出た半島が見えてきた。なだらかな山並みに、いくつもの風車が建ち並ぶ。海から来なかったら、四国の北西にこんなに美しい半島があることには、気が付かなかったかもしれない。
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宇和島は、緑深い山々と、青い海がすぐ隣合う明るい街。お遍路さんとすれ違いながら、街の坂を上がっていくと、そんな海と山々がきれいに見渡せる。はじめて来たのに、なぜたか懐かしい思いになる、そんな場所だ。

今年始め、ハワイで行われた7回忌のメモリアルで、えひめ丸の家族の方々とお会いした。これまで6年間の話を、たくさん聞いた。

「ホクレアは、きっと9人の魂も一緒に運んできてくれると信じています」

家族の方からその言葉を聞いた時、わたしの中にすっと緊張感が走った。かならず届けたい、心にそう誓った。4ヶ月という時間をかけて、ホクレアはハワイから宇和島へと到着した。桟橋で迎えてくれた宇和島のみなさんの懐かしい笑顔を見たとき、それまでの疲れが一瞬のうちに消えていくのがわかった。

事故から6年、宇和島とハワイの間では、ベースボールリーグや、高校生の交換留学など、新しい関係が生まれている。やりどころのない怒りや悲しみを、そんな新しい関係のきっかけへと変えていったみなさんの力に、心から感動する。そして今、こうして宇和島のみなさんの心に触れて、どうしてそれが実現したのか、よくわかる。

私たちは、ハワイから9人の魂と一緒にこの宇和島までやってきた。穏やかな海に守られ、私たちは、彼らを運んできたのではなく、彼らに運ばれてきたように思う。そして彼らが宇和島とわたしたちをつないでくれた。9人の魂は、今もしっかり生き続け、そんなわたしたちを笑顔で見守ってくれているような気がする。
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by kanako_uchino | 2007-06-02 23:10
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